視線を黒板に戻し教授のお経に耳を傾けた

admin | 2011年4月12日

彼は、席に着くやいなや、ガサガサと鞄を漁り始めた。 紫真は、気になってそれを横目で盗み見た。 何を出すのかと思えば、B5サイズの封筒だった。 そして、封筒から何枚もの写真を取り出し、机の上に並べ始めた。 写っているのは、どうやら動物のようだった。 紫真は答えがなんだか分かり興味が削がれたので、視線を黒板に戻し教授のお経に耳を傾けた。 聞けば聞くほど、睡魔に襲われそうになる。 思わず紫真は、静かに大きな欠伸をした。 不意に名前を呼ばれ、紫真は隣を振り返る。 写真を手にしたまま、彼はきょとんとした顔でこちらを見ていた。媚薬 「何でも卒なくこなすから、教授のお経も為になる授業として聞けるのかと思ったんだけど、違った?」 彼女が黙っていると、彼は表情を変えずにそう続けた。 「お経????」 つい先ほど紫真が感じたことが彼の口から聞こえたため、彼女はそう呟いた。 「そう、まるでお経みたいだから。」 彼女はこの時、彼女自身でもよく分からないが、特別な感情を抱いていた。 紫真はもちろん、そんな噂が校内で聞こえてこようが、サークルに入るつもりなんか毛頭なかった。 一番の理由は、興味があることは本を読むことだけだったからだ。 本というものは、人と一緒に読むものではなく一人で読むものだと思っているし、読み終わった後は、意見交換するよりも一人でその読了感に浸る方が好きだった。 だから紫真には、他人と趣味を共有するという感性そのものがなかったのだ。 しかし、そんなことを思っていた紫真だが、そう思ったつい1週間後には写真サークルに入ることになる。 そのキッカケは、何を隠そう亮介に他ならない。 臨床美術の講義の時間、誰も近寄らない紫真の隣に亮介が座ったことからことは始まる。 窓際後ろから3番目の席。 ぽかぽか陽気に、ついつい眠ってしまいそうなよく晴れた日のことだった。 ほんのちょっぴり窓を開けると、全く整えない紫真の髪を風が靡かせる。 講義が始まって5分。 初老の教授がダラダラと何かを話している。 それがまたトーンや店舗に抑揚がないため、眠気を誘う。 しかし、紫真は、これまで学校の授業が退屈だなんて、一言も言ったことがなかった。 友達がいなかったのもその一つだったかもしれないが、紫真はその辺りの感情処理が苦手だった。 面倒とか、ムカつくとか、悲しいとか、楽しいとか、その感じ方がちょっと人より鈍いか、といったらそうでもなかった。 だが、態度や表情や言葉で表現するのが苦手だった。 後ろに座る人の多くは、隣の人とヒソヒソと何かを楽しげに話している。精力剤

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